2023/05/22
在宅療養の方でほとんどの方がされている薬物療法ですが、内服薬がほとんどです。
水分摂取ができる方であれば、内服薬が種類も豊富で注射などのように痛みを伴わず薬の治療が可能になります。
では内服薬が飲みにくいと言われたときはどのような方法があるのでしょうか。
訪問看護師が現場で実際に行う内服方法について見ていきましょう。
■薬の形について
まず薬剤の形についてですが、一粒が小さなものから大きなものまでさまざまです。
小さな粒のものは少量ですが、効果が大きく出たりするものがあります。
落として無くしたりしないよう、注意しましょう。
大きな粒のものは、中心に線が入っていることがあります。
割りやすいように線が彫ってあるため、内服前に割って飲んでも問題ありません。
■現場で利用する内服方法
実際に内服が難しいと相談されたときに提案したり、実施する方法を下記にまとめました。
嚥下機能の低下が見られる方の場合は慎重に検討していきましょう。
■オブラートに包む
オブラートとは、でんぷんを薄く伸ばして作られたフィルム上のものになります。
粉薬をまとめて包んだり、口に入れると苦味を感じる錠剤を包んだりして使います。
水に濡らすと溶けて無くなりますので、薬への影響はほぼありません。
嚥下機能がしっかりしており、手が器用に使える方にはおすすめの方法です。
■粉砕する
錠剤を砕いて内服する方法になります。
錠剤では粒が大きくて飲みにくい場合におこないます。
粉砕する際には一度、薬剤師に確認をしましょう。
粉砕してしまうと効果が薄れてしまったり、苦味が出てきてしまうものもあります。
自宅にあるペンチなどを活用して粉砕します。
主治医に粉砕指示を処方箋に記載してもらうと薬局で細かく粉砕して、粉薬として薬袋に包んでくれます。
■粉砕したものを水に溶かして飲む(懸濁法)
上記のように粉砕したものは水に溶かして飲んでもよいでしょう。
溶けにくい性質のものや容器の底に残ってしまうものもあるため、きちんと最後まで飲めるように確認しましょう。
経管栄養法で栄養摂取をしている方はこの方法が一般的です。
■水に溶かしてとろみをつける
嚥下機能が低下している方であれば、水に溶かしただけでは誤嚥する可能性があります。
少量のとろみ粉を利用して、半固形にして飲みましょう。
とろみがついているとスプーンに乗せやすく介助もしやすくなります。
■内服用ゼリーなどに混ぜる
とろみは舌触りや、味が舌に残ることがあり、嫌がられる方も多いです。
そのときには市販の内服ゼリーを利用してみましょう。
内服ゼリーであれば苦味を軽減してくれて、のど越しもよくなり、内服のしやすさは格段にあがります。
普通の果物の味がついたゼリーでもいいですが、混ぜても良いものかどうか一度確認してから行いましょう。
■嚥下機能に問題がある場合は主治医へ相談
嚥下機能が著しく低下して、食事中に何度もむせこんだり水分の摂取が難しい場合には必ず主治医へ報告しましょう。
内服薬の効果が得られないだけではなく、誤嚥性肺炎などのリスクもあります。
薬は内服だけでなく、貼付剤や吸入薬などもありますので主治医へ相談しましょう。