2023/09/19
「体温」「脈拍」「呼吸」「血圧」の4つが、体が生存していることを示すバイタルサインと呼ばれるものです。
今回はその中の「脈拍」について見ていきましょう。
■脈拍は心臓が動いている拍動
脈拍は自分で測ることができるバイタルサインの1つでもあります。
橈骨動脈といって手首の付け根(親指側)に触れると、ドクっドクっと拍動が指に伝わってくるでしょう。
1分間にその拍動が何回触れるかが「脈拍数」と呼ばれるものの値になります。
正常値では成人で70~80回/分とされていますが、小児ではさらに早く、新生児では120~140回/分となります。
■脈拍でわかる異常
脈拍を診るとき大切なのは、回数とリズムです。
脈拍の正常は、回数が正常値であり、なおかつ一定のリズムであることがベストです。
回数が多ければ「頻脈」、少なければ「徐脈」と言われる状態になります。
しかし一概に早いから頻脈と捉えることは難しく、脈拍は精神状態や活動量によっても変化しますので、落ち着いた環境でリラックスした状態で測定しましょう。
またリズムが一定ではなくなる、「不整脈」という状態もあります。
リズムが不規則であったり拍が抜け落ちたりとさまざまな種類の不整脈が存在します。
■不整脈自体ではなく、怖いのは血栓ができること
不整脈でもさまざまなものがありますが、不整脈で怖いのは、心臓の動きが不規則なため「血栓」と呼ばれる血の塊ができて詰まってしまうことです。
血は血管の中で止まってしまうと固まってしまうため、血栓ができ、心臓や脳の細い血管に詰まってしまうことで脳梗塞や心筋梗塞と呼ばれるものになります。
脳梗塞や心筋梗塞は命にかかわる病気のため、すぐに治療を受けなければ最悪の場合は死に至ります。
そのため不整脈がある方は血液が固まらないように血液をサラサラにする薬を内服しています。
あくまでも血液を固まりにくくする薬なので、この薬を飲んだだけでは不整脈が治ることはありません。
中には危険な不整脈もありますので、不整脈かつ脈拍が早いもの(頻脈)の場合は循環器内科にかかることをおすすめします。。
■脈拍はいろんな場所で触れることができる
脈拍は橈骨動脈だけでなくさまざまな場所で触れることができます。
総頚動脈・・・顎ライン中央の下側
橈骨動脈・・・手のひらを上に向けて手首の親指側
上腕動脈・・・手のひらを上に向けて肘裏の内側
ソケイ動脈・・・足の付け根の中央
足背動脈・・・足の甲の親指と足首の中央付近
ここは動脈が浅い場所ですので、触知することが可能です。
また触れる部位によって、収縮期血圧(上の血圧)が大まかに推測できます。
橈骨動脈が触れれば80mmHg以上、ソケイ動脈が触れれば70mmHg以上、総頚動脈が触れれば60mmHg以上と判断できます。
そのため、総頚動脈や触れなければ血圧が60mmHg以下と判断し、危険な状態と推測できます。
脈拍は普段からどのぐらいが自分の普通なのかを把握しやすいバイタルサインです。
そのため、普段から意識的に測っておくと体の異常が早期発見でき、脳梗塞や心筋梗塞の重症化を防ぐことができる可能性があります。
ぜひ普段から意識的に触れてみる癖をつけてみてください。