2023/10/05
これまでバイタルサインの「体温」「脈拍」「呼吸」「血圧」を紹介してきましたが、実はもう一つバイタルサインに含まれるものがあります。
「意識レベル」は他のバイタルサインのように機械や回数などの数値ができないものですが、JCS(ジャパンコーマスケール)やGCS(グラスゴーコーマスケール)などで数値化することができます。
今回はこの「意識レベル」について紹介しましょう。
■意識レベルは何気なくみているもの
意識レベルはバイタルサインに含まれますが、呼吸同様、忘れられがちのものです。
しかし呼吸と同様に無意識に観察しているものでもあるのです。
会話や刺激でどのような反応をするのか、いつもと反応が違うのか一緒なのか。
そのようなところを観察して判断するのが意識レベルの特徴です。
もちろん病院などではスケールを使って、意識レベルを客観的に判定し、医療従事者同士で共通認識を持ち、チームで観察していきます。
■見方はいろいろ
冒頭でも説明した通り、意識レベルを判定するものはさまざまなスケールがあります。
体温や血圧のように客観的に数値化できるものではないので、人によって感じ方がさまざまです。
そのためスケールを使って共通認識していくものになります。
・JCS(ジャパンコーマスケール)
JCSはよく救急の現場で活用されます。
3段階の大きな項目があり、それぞれをさらに3つに分けて判定します。
基本的には①普段の呼びかけ(覚醒している)②強めの呼びかけ(刺激すれば覚醒する)③痛み刺激を加えた呼びかけ(刺激しても覚醒しない)を行い、どの段階でどのような反応を示すかを観察します。
そのため点数化せずにすぐ判断することが可能です。
・GCS(グラスゴーコーマスケール)
JCSは救急などの緊急時に使われる指標ですが、GCSは急性期を脱した、亜急性期~慢性期の意識障害がある患者さんに使用することが多いです。
そのため評価項目が観察項目のように①開眼②言語反応③運動反応と分かれており、それぞれどの程度の反応があるかの点数をつけて判定します。
点数をつけるため、患者さんの意識レベルがどのように推移しているかを観察して予後評価をすることも可能です。
■意識レベルが低下している人を見かけたら
意識レベルが低下している人を見かけたら、まずどのような状態なのかを判断します。
難しいようですが、バイタルサインの特徴を理解していれば自然と評価ができます。
呼吸状態が悪ければ気道確保をして呼吸状態を観察します。
循環の状態を見るために血圧や脈拍の測定も必要です。
そして今回紹介した意識レベルがどの程度なのかをJCSで判断します。
バイタルサインは器具が無くても触覚や視覚などで正常か異常かの判断ができます。
機械の数値はあくまでも共通認識のためであり、急を要するときには時間が勝負です。
いちいち器材を取りに行く時間はありませんので、五感で判断できるように日頃から学んでおくことが必要です。