2024/07/05
認知症の方はどのような世界で生きているのでしょうか。
すぐに記憶が抜けてしまったり、感情の起伏が激しかったり、進行してしまうと食べられないものも口に入れてしまったりします。
しかしそれは本人にとっての「普通の世界」なのです。
今回は認知症の方が見ている世界を紹介します。
■認知症は「覚えられない」脳の病気
そもそも認知症は「忘れていく病気」と認識されていますが、半分間違えです。
認知症は「新しいことが覚えられない病気」というのが正しいです。
確かに症状が進行していけば、結晶性記憶(これまで無意識に覚えていた記憶)も抜けて行ってしまいます。
脳の記憶する部分(海馬)などが委縮してしまうことで、入ってきた情報をとどめることができないのです。
そのため何度も同じことを聞いたり、場所がわからなくなったりするのです。
■最初はみんな絶望感と不安でいっぱい
認知症は徐々に進行していくのが特徴なので、昨日の今日で何もできなくなるわけではありません。
始めは「何か変だ」と感じるところから始まります。
そして不安な日々を過ごし、認知症と診断されてさらに今後のことが不安になります。
認知症のイメージが先行して、「何も分からなくなる自分」を想像してしまうのです。
■認知症だと受け入れられるかは周囲の人次第!
認知症と診断された方すべてがうつ状態になるのかというと、そのようなことはありません。
もちろん絶望感や不安を感じる時期もありますが、自身が認知症だと受け入れ、周りの人のサポートや何気ない一言に救われることは多々あります。
「認知症だから何かしてあげなくては」「認知症だからかわいそう」などの気持ちではなく、「今まで通りの〇〇さん」という気持ちで接することが大切です。
認知症にフォーカスするのではなく、「人と人」としてのコミュニケーションや関りを続けて行きましょう。
■適切な医療を受けてなるべく進行を遅くできる
認知症と受け入れることは容易ではありませんが、現在、認知症の進行を遅くする薬や治療法は多々あります。
また認知症の周辺症状に対する薬やケア方法なども多く紹介されています。
残念ながら現在の医療では認知症の根治はできません。
しかし適切な医療を受け、内服薬や対応方法を考えていくことは可能です。
まずは一度医療機関の受診をし、現状を把握することが大切です。
認知症になってしまうと、絶望感や不安が大きく将来に希望が持てなくなります。
しかし周りの環境が整っていれば十分に在宅で生活することも可能です。
訪問看護などを利用して様子を継続的に伺うことでも、進行状況の確認などもできますので安心です。
できることを考えて、現在の生活が維持できるようにサポートできるようにしましょう。