2020/10/01
尿検査で異常が出た場合には体質として尿タンパク、尿潜血がでることが一番おおいですが、病気として多いのは腎臓、泌尿器の感染症です。
腎臓では血液から尿が濾されてできます。ご存知の通り、血液は血管をながれる液体で、細菌など身体にとって異物となるものは流れていません。そのため、尿も体にとって老廃物であるものの、体外部からの異物、細菌などは含まれていません。
しかし、なにかのきっかけで尿道から細菌が入りこんでくると尿路感染症という感染症にかかってしまいます。
・膀胱炎
・腎盂腎炎
・前立腺炎(男性の場合)
などが泌尿器の感染症、尿路感染症としてあげられます。
■膀胱炎
膀胱炎では排尿時の痛みや頻尿、残尿感など局所の症状ですむことがおおいですが、細菌がさらに尿路を逆行していくと腎臓にたどりつき、腎盂腎炎になります。
原因となる細菌は大腸菌です。肛門周囲におり、尿道に近いことから細菌がはいってこないために日頃から水分をしっかりとり、尿意はがまんせずにトイレにいくことが大切です。
また、女性では男性に比べると尿道が短いことから膀胱炎になりやすく、また、体調が優れないときには細菌が逆行しやすくなります。
治療としては抗生剤の内服です。漢方の薬(猪苓湯など)を併用することで症状が軽減されたり治りが早くなったりします。
■急性腎盂腎炎
急性腎盂腎炎では背中の痛み、高熱がでたり、体のだるさ、ひどい悪寒など全身の症状がでることが特徴です。
腎臓で血液から尿がつくられることからもわかるように、腎臓は血管がとても豊富な臓器です。そのため、腎臓にたどりついた細菌は容易に血液中をながれだしてしまいます。
急性腎盂腎炎になってしまった場合、適切に治療をおこなわないと全身に細菌がまわってしまい敗血症という命を脅かす状態になりかねません。
腎盂腎炎を発症するまえに必ず膀胱炎を経ています。高齢者や糖尿病、免疫力が低下している方などは容易に腎盂腎炎に移行しやすいため、水分をしっかりとること、体調管理をしっかり行うことが大切です。
治療では抗生剤の点滴が必要となるため入院で治療を行います。血液に細菌が混じってしまう場合には命の危険があり、治療も最低2週間の入院が必要となってしまいます。
■慢性腎盂腎炎
慢性的に腎臓の細菌感染が起こっている状態ではあまり症状がなく、気づかないうちに腎臓の機能を低下させてしまうことがあります。
■まとめ
尿路感染症を予防する一番のポイントは
・水分をしっかりとること、
・トイレをがまんしないこと
です。尿路感染症を繰り返す方のなかには、尿路に奇形があったりすることがあります。また、尿路結石や前立腺肥大など尿路を物理的に塞いでしまう病気がかくれているときにも尿路感染症が重症化しやすいといわれています。
尿路感染症をくりかえすばあいには治療を行うだけでなく泌尿器に異常がないかを確認することをお勧めします。