2020/10/22
多くの方は年に一度は健康診断を受けているかと思います。健康診断の項目に、消化管X線検査(バリウム検査)、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が含まれることもあります。
消化管の検査は決して気持ちのいいものでもないし、できれば毎年はうけたくないという思いの方も多くいるでしょう。
「昨年、胃カメラをうけて、綺麗だといわれたので今年はうけなくてもいいですか?」
この質問、よくきかれますが、検査の必要な間隔は人それぞれ、個人差があります。
胃カメラでなにがわかること、その人の胃の状態をみると検査の間隔がわかってきます。
胃カメラでわかること、バリウム検査との違い
胃カメラでは食道から胃、十二指腸までの上部消化管をカメラに写しだして直視下に観察することができる検査です。
炎症やポリープ、がんなどを発見することができます。よく診断されるものとして逆流性食道炎や胃炎、胃ポリープなど、そして、胃がんや食道がんといった悪性腫瘍は胃カメラを行うことが早期発見早期治療につながります。
ピロリ菌が胃がんの原因になる
胃がんのなる方の多くはピロリ菌(ヘリコバクターピロリ、H.pylori)による慢性胃炎、萎縮性胃炎がある状態から胃がんを発症するといわれています。
胃カメラでは慢性胃炎や萎縮性胃炎といったピロリ菌による胃炎の状態を観察することができます。
ピロリ菌がいる状態では通常にくらべ5倍の胃がんの頻度があるといわれ、もしピロリ菌がいた場合には除菌することをおすすめしますが、ピロリ菌がいなくなった胃も胃がんのリスクがなくなるわけではありません。
また、早期胃がんが見つかった場合には胃カメラでとることができますが、その後も再発の可能性は高いといえます。
胃カメラは毎年うけたほうがいいの?
一般的に胃がんができた場合、2年程度で進行がんになるといわれており、なかには進行がはやいものもあります。
早期胃がんがみつかったことがある人は、がんが再発する可能性も考えなくてはいけません。
そのため、早期胃がんが発見された方は最低でも1年に1度、ピロリ菌がいる(いた)場合には最低でも1~2年程度の胃カメラをおすすめします。
また、ピロリ菌がいない方はもう少し(5年毎など)間隔を空けてもいいかもしれません。もちろん、胃の症状がある場合には躊躇せずに胃カメラの検査をうけることをおすすめします。
まとめ
胃カメラはつらいというイメージがある方もいるかもしれませんが、口からのみこむ経口よりも嘔吐感が少ないといわれる経鼻胃カメラも普及しており、検査後のゲップを少なくなる工夫などもされてきています。
胃の検査としては検査時間も数分程度ですし、被爆が少ないことや直視下での観察であり精度がたかいことなどバリウム検査よりも優れているといえます。
躊躇せずに胃カメラの検査をうけること、頻度については検査医、主治医の先生に相談してください。