2021/01/14
ステロイド剤は怖い、というイメージを持つかたもいるかと思います。ステロイドにも飲み薬や塗り薬などいろいろな剤形がありますが、今回は皮膚の病変で使うことの多いステロイド外用薬についてです。
■ステロイドとは
体内の臓器、副腎ではステロイドホルモンがつくられています。ステロイドホルモンにはさまざまな働きがあり、薬としては炎症を抑える働きして使われています。
様々な分野の病気でステロイド剤は使われますが、軟膏やローションなど外用薬は皮膚の湿疹やアレルギー、アトピーなど皮膚の病変につかわれます。
■ステロイド外用薬はものによって強さが違う
ステロイド外用剤は効果の強さにより5ランクにわけられています。強い効果のものからstrongest、very strong、strong、medium、weakに分類され、市販のものは弱いほうから3ランクが売られています。
Strongest: デルモベート、ジフラール
Very strong:アンテベート、フルメタ、マイザー、トプシム
Strong:フルコート、リンデロン
Medium:リドメックス、ロコイド、キンダベート、アルメタ
Weak:プレドニン
■部位によってステロイドを塗り分ける
湿疹やかゆみなど皮膚の病変に多く使われるのはstrong以上の外用薬です。Strongで効かない病変にはvery strongやstrongestといった強い外用薬が使われます。
顔や陰嚢はとても吸収率が高いので、ステロイドの効果は弱いロコイドやキンダベートなどが使われます。子どもも皮膚バリアがまだ未熟で吸収率が高いため、mediumランクの薬を使用します。
■ちょっとべたべたするくらいがちょうどいい
外用薬の効果を得るためには適切な量、適切な塗り方が必要です。
1FTU(ワンフィンガーチップユニット)が適切な量です。軟膏を出したときに指の関節一つ分が約0.5g分、ローションの場合だと1円玉くらいの量になります。これを手のひら2枚分の範囲の量に塗るのが1FTUです。塗ったときに少しベタつくのがこの量になります。
■ステロイド外用薬の副作用
ステロイド外用薬の副作用はステロイドの内服にくらべて限定的です。ステロイドの内服では胃潰瘍や糖尿病、肥満、ムーンフェイス(満月様顔貌)といった全身の副作用がでますが、ステロイド外用薬は塗布した部分に副作用がでる可能性があります。
まれにステロイドニキビ、ステロイド潮紅、多毛、皮膚萎縮、皮膚感染症といったものがステロイド外用薬の副作用としてでることもあります。しかし、ステロイド外用薬を中止することで副作用はおさまります。また、3か月以上長期にステロイド外用剤を使用しても副腎の機能に影響はないとされています。
■適切につかえば怖くない
ステロイド外用剤はとても皮膚病変にとても効果的な薬です。適切に使うことで治療効果が高くなるため医師や薬剤師の指導に基づき使用するようにしてください。