2022/01/06
食事といえば口から食べて栄養を補給する、生命を維持するためには必ず必要な行動です。
しかし口から食べられない方はどうやって栄養をとっているのでしょうか。
さまざまな方法がありますが、今回は在宅でもできる「経管栄養」について解説していきます。
経管栄養って何?
経管栄養とは、胃や腸に直接栄養剤を注入して栄養を補給する方法を言います。
主に脳に異常があるために嚥下(飲み込み)が上手にできず、肺炎を起こしたりするような方が対象です。
胃や腸からきちんと栄養が摂取できる方が前提になります。
経管栄養の種類
経管栄養には2種類の方法があり、
・胃ろうや腸ろうによる経管栄養
・鼻から胃まで管を入れる経鼻経管栄養
が一般的です。
胃ろう(腸ろう)からの経管栄養は、胃や腸に穴を開けて短い管を入れます。
これを胃ろうといい、ここに栄養剤が入ったボトルやパックを繋いで栄養剤を注入していきます。
胃ろうは一度作ったら、定期的に管を入れ替えるだけのため、苦痛が少ないのがメリットです。
また鼻から管を入れないため、喉に違和感もなくすみます。
鼻から管を入れる経鼻経管栄養は一時的に経管栄養を行う方にメリットがあります。
体に傷をつけることなく経管栄養が実施できるので、必要ではなくなったら退けるだけですみます。
しかし定期的に鼻から管を入れ替えたり、抜けてしまうこともあるので苦痛が伴いやすいです。
胃ろうからでも鼻からでもメリットデメリットがさまざまあります。
経管栄養のメリット
経管栄養のメリットはなんでしょうか。
それは生命維持ができることにつきます。
人間は必要な栄養を取らなければ生きていけません。
しかし口や喉に何かしら障害があると上手に摂取することが難しくなると命の危機です。
命を繋ぐための方法として経管栄養があります。
また胃ろうであれば、誤嚥性肺炎(間違えて食物が気管に入ってしまい肺炎になること)を予防することもできます。
高齢者や免疫力が低下している方には誤嚥性肺炎は命取りになりますので、その予防ができるのは大きなメリットです。
経管栄養のデメリット
経管栄養はメリットばかりではありません。
胃ろうであれば、手術をして胃ろうを造設します。
身体に傷をつけてしまうことになりますので、多かれ少なかれ感染症が起こる可能性が出てきます。
経鼻経管栄養であれば、管の入れ替えや喉に異物がずっと通っているので苦痛です。
また鼻に潰瘍ができたりテープでかぶれる方もいます。
管が途中で抜けてしまうと誤嚥性肺炎になってしまいます。
胃ろうにしろ経鼻経管栄養にしろ、注入中は1時間から2時間は寝たきりです。
一日3回注入になれば合計6時間もの拘束になりますので苦痛ですよね。
経管栄養法は口から食事がとれない方にとって、命を繋ぐ大切なものになります。
最近では一定の研修を受けた介護職員でも実施することができるようになりました。
しかしデメリットもありますので医師から経管栄養を進められた場合には、しっかりと必要性(メリット)と危険性(デメリット)を聞いて決めましょう。
また経管栄養をしたからといって、一生、口から食べられないわけではありません。
状態によってはまた口から食べられることもありますので、医師と相談しながら進めていきましょう。