2024/01/15
生命体の体は、ケガや病気をすると体は熱を高めて、菌やウイルスを撃退しようとします。
しかし熱が出ると仕事や学業に支障が出てしまい、なるべく早く解熱させてしまおうとする方が多くいらっしゃいますが、実は逆効果なのはご存知でしょうか?
今回は発熱の役割や正しい解熱剤の使用方法を紹介します。
■発熱は闘っている証拠
人間の体の構造はとても緻密に出来ています。
ウイルスなどの病原体が体内に侵入(感染)すると、白血球が排除しようと体の中で戦ったり、咳やくしゃみ、涙や鼻水などが出たりして体を守ります。
その中でも発熱は、体温を上昇させることにより体内の酵素を活発化させて闘う力をアップさせる役割があります。
またウイルスは40℃近くなると死滅すると言われているため、体温自体でもウイルスを撃退することができます。
そのため「発熱」という現象は、体内に入り込んでしまったウイルスを撃退する「防衛動作」の1つなのです。
■熱は出ても脳に異常はない
高熱が出ると脳に障害が起きてしまうのではないかと心配になる方もいます。
しかし実は高熱だけでは脳にダメージが加わることはありません。
高熱が出て脳症や脳炎になるのは、ウイルスや病原体によるものです。
急性脳炎や髄膜炎では重篤な感染症により全身状態が悪くなり、過剰な免疫機能の働きによって自分の体を攻撃してしまうのです。
その結果、脳にダメージが加わり、異常が出てきてしまうので注意が必要です。
■解熱剤を使用するポイント
ではどのタイミングで解熱剤を使用するのが良いのでしょうか。
- 熱が上がりきってから使用
- 時間を守って使用
- 用量は必ず守る
上記の3つが解熱剤を使用すると効果があり、早く体も楽になります。
熱が上がる前は手足が冷たかったり、悪寒がする、体が震えるなどの所見があります。
このようなときに解熱剤を使うと熱が出せずにウイルスが増殖し続けてしまいます。
熱が上がりそうといって解熱剤を使用するのはやめましょう。
手足が暖かくなり発汗してきたら、熱が上がりきった証拠です。
掛物を薄くして手足を出し、熱を放散できる状態にしましょう。
解熱剤を使用する時には必ず医師の指示通りの用量で内服します。
熱がなかなか下がらないからと時間を開けずに内服するのは避けてください。
■解熱剤は意外に使う必要がないものである
発熱すれば後は汗をかいて、自然に熱も治まります。
特に子どもの場合には活気があり飲水ができるのであれば、特に解熱剤を使用する必要はありません。
夜に寝れない場合やぐったりしている場合には解熱剤を使用して、体を楽にしてあげるとよいでしょう。
もしも解熱剤を使用しても、なかなか下がらないときにはすぐ主治医へ連絡し、指示を仰いでください。