2022/10/27
在院日数の短縮化や地域包括支援システムの構築など、今日本は在宅での療養生活を主体にしようと取り組みを進めています。
その役割を担う「訪問診療」はなぜ必要とされているのでしょうか
今回は訪問診療の必要性やこれからどのようになっていくのか見ていきましょう。
■訪問診療ができた理由
そもそも訪問診療が行われるようになったのはなぜでしょうか。
昔から町医者と呼ばれる医師が自宅に訪問して、診療することは珍しくありませんでした。
しかし医療の発展に伴い、レントゲンや採血などの検査を行うことが増え、特別な設備や機器を揃えた医院が増えてきました。
そして医療を提供する場所が、自宅から医院になり、病院などの入院して治療する施設も増えていき、自宅での医療は少なくなっていきました。
そして社会的入院(入院する必要がないが生活上の理由などでそのまま入院している状態)が増えていき、本当に医療が必要な方が入院できず社会問題となります。
問題解決のために、介護保険法を策定したり地域包括支援システムの構築や在院日数の短縮をおこなっています。
そこで、在院日数の減少でまだ十分に健康管理ができない方やあらかじめ健康管理をしていれば入院しなくても済むような方、医療のサポートがあれば自宅での生活ができる方などに注目しました。
また民間からも「自宅で過ごしたい」「馴染みのある環境で過ごしたい」などという意見も多くあったため自宅での診療も可能にできるよう、訪問診療の制度ができました。
■訪問診療に求められていること
訪問診療は自宅でも医師の診察を受けることができます。
そのため、自力では病院へ行くことができない方や医学的管理が行えれば自宅で生活できる方は入院することなく、自宅での生活が継続できます。
訪問診療は介護や医療が必要になっても住み慣れた地域で支援を受けながら生活を続けることができるように国も推進しています。
社会的入院を避けるためだけでなく、自宅で生活をしたいと望む方の希望を叶えるためには必要不可欠です。
高度な医療は訪問診療では難しいですが、安心できる環境で自分の望む生活を継続するためには強い味方になるでしょう。
また24時間、連絡がとれて医師や看護師が出向いてくれる安心感はとても心強いものです。
■訪問診療のこれから
医師や看護師など医療職者は病院の方が機器が揃っており効率よく診察できるため、訪問診療に出向くのはデメリットでもあります。
しかし政府は2年に一度、診療報酬の改定を行い、訪問診療の報酬を手厚くしています。
高齢化社会は2035年にピークを迎えるとされていますが、その後も高齢者数は今よりも多い状態が続きます。
これから都会の方などでは訪問診療を専門に行なっているところもあります。
今後は訪問診療をする医師が増えたり、訪問看護ステーションも増加していかなければ、高齢化社会での在宅サポートは限界がきます。
在宅療養を支える医師や看護師が増えてくれることを期待しましょう。