2023/06/12
高齢者は筋力の低下や記憶力の低下など社会的に見ても「守るべき存在」の方が多くいらっしゃいます。
しかし自宅で生活している高齢者の方はなかなか虐待に気付かれにくく、悲しい事件に発展してしまうケースも過去にあります。
今回は虐待について見直してみましょう。
■虐待の種類
虐待には5つの種類があります。
・身体的虐待
暴行や不要な身体拘束など身体的に苦痛を与える行為をさします。
・心理的虐待
暴言や陰口など精神的な苦痛を与える行為です。
・経済的虐待
高齢者の年金を勝手に使ったり自由にお金を使わせなかったりする行為です。
・性的虐待
故意に下着やズボンを着用させなかったりプライバシーを守らずにオムツ交換を行ったりなどの行為です。
・ネグレクト(放棄・放任)
無視をしたり食事や排泄の介護をしなかったりと、介護を受けなければならない方を著しく放置したり、虐待されている同居人を見て見ぬふりをしたりしている行為です。
■見逃しがちな虐待
高齢者虐待防止法に基づいた厚生労働省の調査によると、身体的虐待が52.0%、心理的虐待26.1%、ネグレクト23.9となっています。
性的虐待と経済的虐待は合わせても2割以下となっており、とても発見されにくい虐待です。
虐待は1つだけでなく、複数の種類が混在している可能性が高く、身体的虐待と心理的虐待が混在していることも多くあります。
性的虐待と経済的虐待は本人からの訴えがなかったり、本人が気付いていなかったり(通帳の管理をしていないなど)しているため、見つけにくい虐待になっています。
現在、報告されている虐待は氷山の一角であり、まだまだ虐待に苦しんでいる高齢者はたくさんいると考えられています。
しかし証拠が無かったり本人が子どもや介護者をかばったりと表面化しない場合が多く、社会問題となっています。
■虐待を見つけたら相談を!
高齢者の虐待を見つけた場合には市町村へ通報することが努力義務となっています。
また虐待が明らかであり生命や身体に重大な危険が生じている場合には通報が義務です。
これは高齢者虐待防止法により平成18年に定められているため、虐待を疑った場合には市町村に通報をしましょう。
もちろん通報者を確定されることはありませんし、匿名で受け付てもらうことも可能です。
虐待なのかどうかわからない状態で通報してしまうと、疑っているようで申し訳ないと思う方もいらっしゃいますが、万が一のことを考えて行動しましょう。
通報先は各市町村の担当窓口や地域包括支援センターが受け付け窓口になっています。
命や身体に重大な危険があると判断されると高齢者の保護や養護者に対して相談、指導及び助言などの措置が行われます。
■虐待をすることはあってはならないことです。
しかし虐待をする理由にもさまざまな背景があります。
虐待につながる前に周りの人が介護者に対して支援できる関係性を築けると虐待も減ってくるでしょう。