2023/11/29
現在入院している、またはこれから入院するけど自宅に帰ってからどうなるのか不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
現在、日本ではさまざまな在宅療養の制度やサービスが整いつつあります。
入院してもまた自宅で過ごせるのか不安に思われるご本人やご家族の方へ、在宅で療養が可能な医療処置を紹介します。
在宅での生活をあきらめて、入院生活や施設での生活を考える前に一度検討してみましょう。
■喀痰吸引(かくたんきゅういん)
喀痰吸引は在宅生活で必要な医療処置として多く実施されています。
自力で喀痰が排出できない方に対して、吸引機を使って痰を吸い取ります。
手技も退院前には看護師から指導を受けたり、退院後も訪問看護師や訪問診療で同行してくる看護師などから教わる機会は充分にあるため、安心して帰宅してください。
■経管栄養
経管栄養は、何かしら口やのどに障害がある方の食事方法のひとつとして選択されることもあります。
管から栄養剤を流して、必要な栄養素を摂取することができるため全身状態の改善がはかれる場合もあります。
経管栄養を一時的に選択しても、リハビリや病状の回復で口から食べることができる方もいらっしゃいます。
■人工呼吸器
ALSや重症筋無力症など筋力が低下してしまう病気の方や無呼吸症候群がある方などが装着して、人工的に酸素などの空気を送り込み、呼吸と同じ効果をもたらします。
機械が大掛かりに見えるため始めは怖い印象を持たれる方が多いですが、しっかりと訪問診療医や訪問看護師が管理してくれます。
もしものときにはすぐ対応できる体制を整えておくと安心でしょう。
■膀胱留置カテーテル
尿が正常に排出できない方や何かしら排尿コントロールが厳密に必要な方に対して、尿道から管を入れて尿を排出させることができます。
バックの中に尿が溜まるため、定期的にバック内の尿を廃棄する必要があります。
尿路感染症のリスクや医療機器関連の皮膚トラブルにもつながるため、陰部の清潔と観察が必要不可欠です。
■褥創(床ずれ)処置
寝たきりになると同じ部分に圧がかかってしまい、組織が壊死してしまいます。
その結果、皮膚がただれたりクレーターのように穴が開いたりするのが褥創です。
穴が空く前の皮膚が赤くなったとき、早急に対応すれば悪化することは少ないでしょう。
ベッドマットや体位、オムツなどの工夫も必要になってきます。
褥創ができやすい方は自動体位変換装置のついたマットを選択すると、家族の介護負担も大幅に減少します。
しかし完全に予防するわけではないため、きちんと観察することが必要です。
■看取り
これから多死社会に突入していく中で、自宅での看取りは増えてくると予測されています。
人の死に目に会うことが少なくなった現代では、恐怖感や不安が大きくなり病院へ搬送してしまうケースも少なくありません。
しかし本人が自宅での最後を望む場合には、可能な限り自宅での最後を叶えてあげられるように工夫することをおすすめします。
ケアマネジャーや訪問看護師、在宅診療医などと連携できれば、サポートしてもらえますので、相談しましょう。
在宅での生活を支えるには、医療が必要なこともあるでしょう。
今の日本は、まだまだ完璧な体制ではありませんが、在宅療養の環境が整いつつあります。
住み慣れた自宅で生活できるように医師や看護師、ケアマネジャーなどと協力してQOLが上がるように工夫してみましょう。