2025/04/10

近年、在宅医療への関心が高まり、訪問診療を利用する方が増えています。 訪問診療では医師に加えて看護師が同行することもあり、「訪問診療を受けているから、訪問看護は不要なのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
今回は、訪問診療に同行する看護師と訪問看護サービスの看護師の違い、それぞれの役割について解説します。
1.訪問診療は「診察」が目的
訪問診療は、通院が困難な患者さんの自宅へ医師が訪問し、診察を行うサービスです。 定期的な訪問診療によって、医師は患者さんの状態を把握し、薬の処方や治療方針の変更などを行います。 訪問診療には看護師が同行し、医師の指示のもと、点滴や褥瘡(じょくそう)の処置、採血などを行います。
2.訪問看護は「ケア」が目的
訪問看護サービスは、介護保険または医療保険を利用できるサービスです。 看護師や理学療法士などのリハビリ専門職が、医師の指示に基づいて自宅を訪問し、療養上のケアを行います。 その内容は、日常生活のサポートから医療処置、患者さんやご家族への相談・指導など多岐にわたります。 また、訪問看護師は主治医やケアマネジャーに日頃の様子や変化を報告し、必要に応じて緊急時の対応も行います。
3.役割の違い:診療の補助 vs. 日常生活のサポート
訪問診療に同行する看護師と訪問看護師は、どちらも医療処置を行うという点で共通していますが、その役割は大きく異なります。
訪問診療に同行する看護師は、医師の診療を補助するのが主な役割です。具体的には、医師の指示のもと、点滴や褥瘡処置、採血といった医療処置を行います。
一方、訪問看護師は、患者さんの日常生活をサポートすることが主な役割です。清潔ケアや排泄介助、服薬管理、創傷処置、リハビリなど、患者さんの状態に合わせて様々なケアを提供します。また、患者さんやご家族の相談に乗ったり、生活上のアドバイスをしたりすることも重要な役割です。
訪問診療に同行する看護師は、あくまで医師の診療をサポートするのが目的のため、訪問時間も診療時間内に限られ、行えるケアも必要最低限となります。
一方、訪問看護師は、ケアプランに基づいて30分~1時間程度の時間をかけて、患者さんの日常生活を支えるためのケアを行います。 そのため、訪問診療を受けていても、日常生活のサポートが必要な場合は、訪問看護サービスを利用する必要があります。
4.訪問診療だけでも良いケース
訪問看護サービスは、必ずしも全ての方が利用しなければならないものではありません。 ご本人やご家族が日常生活を送る上で困りごとが少ない場合は、訪問診療のみで対応できるケースもあります。
訪問看護サービスが必要かどうかは、主治医やケアマネジャーが患者さんの生活状況などを確認し、話し合って決定します。 不安なことや疑問点があれば、まずはケアマネジャーに相談してみましょう。
5.公的サービスを上手に活用しましょう
日本には様々な公的サービスがあり、それらを組み合わせることで、住み慣れた自宅での生活を継続できる可能性が広がります。 ご自身の状況に合わせて最適なサービスを選択し、在宅での療養生活を送りましょう。